(6)  手泅門 (ておよぎもん)

  紀州では「伝馬」といわれたが、残念ながら田丸にはこの泳ぎは伝わらなかった。

  先師をはじめとする門人達が名古屋で研究し、今日のような多彩な型が出来上がったものである。

正体を練習するときに、初心のうちは1ヶ所に留まれずに移動する。

もっとも多いのが後方(背後)に動くことであり、これは肩・肘・手先の順に低くならずに、肘が下がり、脇が狭くなっているからである。

  肩・肘・手先の順に低くなると、それは平游の手使いであり、手泅が出来るようになると平游も上達する。

転体する時は膝と腰の角度を変えながら行うと、頭と足の間隔が伸び縮みせずにすむ。2連転するのが当流の特徴である。

正体の手は体と直角に、後足鴎の時は体と並行に動かす。

1. 手泅正体(ておよぎせいたい)

仰向けになり両脚を前に膝をやや曲げ、足先を水上に出す。両手は両膝の外に位置し、身体と直角に左右に動かして浮を取る。

2. 前片足鴎(まえかたあしかもめ)

手泅正体の姿勢で片方の足先を水上に出し、他の3肢で浮を助けるもの。

3. 後足鴎(あとあしかもめ)

伏して両足先を水上に出して両手は身体と平行に動かし浮をとる。

4.後片足鴎(あとかたあしかもめ)

後足鴎の姿勢で片方の足先を水上に出して他の3肢で浮を取る。

[名称のみ違う泳ぎ=伝馬(和歌山)]

 

最初に戻る